第102回:腰からお腹の半分、鼠径部まで痛み
1: 腰の痛みがお腹まである場合
腰が痛いという方は多いですが、
腰とお腹の広い範囲まで辛い方は
少ないと思います。
もし痛みの範囲がお腹の右半分まであったり、
鼠径部まで辛い場合は、下記の筋肉が
影響しているかもしれません。
その筋肉は『腹斜筋(ふくしゃきん)』です。
腹斜筋には内腹斜筋、外腹斜筋とありますが、
今回はまとめて腹斜筋とさせて頂きます。
腹斜筋は骨盤と肋骨の間を
覆っている筋肉です。
お腹側から腰まで付着していて、
お腹側は鼠径部付近まで付着しています。
ですから、痛みの範囲が
広いのが特徴です。
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2: 腹斜筋の働きと痛める動き
主な働きは、
・腹圧を高める
(排便、排尿、嘔吐、くしゃみ、咳)
・正しい姿勢維持
・前屈、側屈、回旋
・胸郭の引き下げ
です。
痛める動きは、
体を捻じりながら、お腹周りに力を入れる状態です。
もっと具体的に説明すると、
・体を捻じりながら、くしゃみや咳をする
・体を捻じりながら、遠い所に手を伸ばし続ける
・体を捻じりながら、床に手を伸ばし続ける
お腹周りに力を入れた状態というのが
ポイントです。
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3: 痛みの出方(来院者さんの一例)
<症状>
・吐き気、嘔吐。
・便秘
・みぞおち部分が最初痛かった。
・右の鼠径部がピリピリする。
・座っていると右お腹の奥の方に
痛み、圧迫感がある。
・右腰に痛みがある。
吐き気やお腹の奥(広い範囲)の痛みがあった為、
最初は内臓から来ているかと思い、病院に行き、
検査をしたが異常なし。
内臓に負担を掛ける為、痛み止めはなしで
ビタミン剤を処方される。
吐き気、嘔吐は、1回だけでしたが、
お腹の奥、右腰の痛み、鼠径部のぴりぴりは、
約3週間続いて、当院に来院。
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4: 施術
痛みの範囲が広い為、普通の腰痛ではないと考え、
仰向け状態で腹斜筋にアプローチをする。
骨盤の際に腹斜筋が付着している為、
付着部分を特に施術していくと、
「今、ここら辺(鼠径部付近)の血液が流れた気がしました。」
という反応がありました。
更に、鼠径部、肋骨の際を施術して
座ってもらうと、
「今は、お腹は何でもないです。大丈夫です。」
と喜びの声が。
座った状態で長くいると
お腹や腰の痛みが出るか確認した所、
特に痛みも出ず。
腹斜筋を痛める動きは、
体を捻じった状態で力を入れる姿勢です。
来院者さんは、毎週1回、個人トレーナーの元、
筋トレをしており、腹筋を鍛えるのに、
仰向けで両足を上げた状態から、
トレーナーさんが両足を倒すという運動を
していたとのこと。
腹斜筋が元の状態に戻るまで、筋トレを休むように伝え、
施術を終了しました。
今回は、嘔吐や吐き気、便秘、など
内臓の影響が考えられた為、病院にずっと掛かっていても
おかしくありませんでした。
この方は、元々、当院に通われていたので、
もしかしたら整体で良くならないかなと
整体に望みを持ってくれたのが正解でした。
あのまま病院で色々な科に行って、
薬を貰っても改善しなかったので。
内臓疾患だと思っても、
筋肉の影響を考えるのも
大事ですね。
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