第80回:椎間板ヘルニア?坐骨神経痛?
1: 先生の言葉
足のしびれで整形外科さんに行くと、
レントゲンを撮った後に、
大体、次のどれかを言われます。
「坐骨神経痛ですね。」
「椎間板ヘルニアですね。」
「椎間板ヘルニアっぽいですね。」
「脊柱管狭窄症ですね。」
「骨と骨の間が狭いですね。」
先生の説明不足が原因なのですが、
分かるようで分からないですよね。
今回は先生の言葉の意味を
説明していきます。
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2: 状態と症状名
「坐骨神経痛」「椎間板ヘルニア」「脊柱管狭窄症」
どれも同じような状態(足のしびれ、痛み)
の時に整形外科の先生に言われますが、
「坐骨神経痛」は、『症状』を表しており、
その他は『状態』を表しています。
●坐骨神経痛
神経痛により足にシビレや痛みの
症状がある場合は、坐骨神経痛です。
●椎間板ヘルニア
骨と骨の間のクッション(椎間板)の
中身が飛び出した状態です。
(足のしびれの原因かどうかは別問題。)
●脊柱管狭窄症
背骨の中の神経の通り道(脊柱管)が
狭くなている状態です。
(足のしびれの原因かどうかは別問題。)
この違いが分かるだけでも、
少し理解が深まります。
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3: 「坐骨神経痛ですね」
先生の言葉を分かりやすく
置き換えてみましょう。
「坐骨神経痛ですね。」⇒
「どこかで坐骨神経を圧迫している為、
足がしびれてますね。」
「椎間板ヘルニアですね。」⇒
「椎間板の中身が飛び出していますので、
これが坐骨神経を圧迫して足がしびれていますね。」
(但し、レントゲンでは椎間板ヘルニアは写らない為、
レントゲンの場合は推測でしかありません。)
「脊柱管狭窄症ですね。」⇒
「神経の通り道が狭くなっていますので、
これが坐骨神経を圧迫して足がしびれていますね。」
「骨と骨の間が狭いですね。」⇒
「骨と骨の間が狭いので、椎間板の中身が
飛び出ている可能性があります。
これが坐骨神経を圧迫して足がしびれていますね。」
次のような言い方でも、聞いている方に
とっては少し分かりやすくなりますね。
「原因は分かりませんが、坐骨神経痛ですね。」
「椎間板ヘルニアが原因の坐骨神経痛ですね。」
「脊柱管狭窄症が原因の坐骨神経痛ですね。」
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4: 椎間板ヘルニアの色々
但し、整形外科の先生が言いきったとしても、
本当の原因かどうかは別です・・・。
椎間板ヘルニア=足のしびれの原因
ではありません。
MRIで椎間板ヘルニアと診断されても
椎間板の中身が飛び出ているだけで、
神経を圧迫しているかどうかは別問題です。
椎間板ヘルニアでも4パターンあります。
①椎間板ヘルニアだけど、
足がしびれていない人
②椎間板ヘルニアだけど、
別原因で足がしびれている人
③椎間板ヘルニアで、
それが原因で足がしびれている人
④椎間板ヘルニアで
それが原因で足がしびれているが、
その他の原因でも足がしびれている人
「椎間板ヘルニアですね。」と言われると、
皆さんは③だと信じると思います。
しかし、レントゲンは論外ですが、
MRIで判断しても実際に③かどうかは分かりません。
「手術をしてもしびれは変わりません。」
「手術をしてしびれが変わるのは5割です。」
という言葉をネットで見たり、
耳にした人もいると思います。
それは、椎間板ヘルニア以外の原因でも
足がしびれているからです。
私は当院に来られる方が
「MRIを撮って椎間板ヘルニアと言われたんですけど・・。」
とおっしゃっても、その言葉を鵜呑みにすることは
ありません。
実際に椎間板ヘルニアだけが原因の方は
半分にも満たないからです。
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